
スパイを生み出す組織の構造
前回は、減点方式が大人たちに分厚いバリアを張らせる仕組みについてお話ししました。
その延長線上に生まれる、もう一つの深刻な病巣があります。
それが職場に蔓延する「チクリ(告げ口)文化」です。
本来、切磋琢磨し合うはずの仲間同士が、いつの間にか互いの失敗を探り合い、足を引っ張り合う。
そんなギスギスした空気の正体を、コーチングの視点から見てみましょう。
1. 「スパイ」が優遇される、歪んだ評価軸
減点方式の組織では、上司は「誰が成果を上げているか」ではなく、「誰がミスをしているか」を探すようになります。
しかし上司一人の目には限界がある。そこで重用されるのが、上司の耳目となって情報を運ぶ「スパイ」的な存在です。
能力や成果ではなく、「誰を密告したか」で評価が決まる。
そんな光景を日常的に見せつけられると、真面目に努力している人ほど
「正直にやっているのが馬鹿らしい」と感じ、心にさらに厚いバリアを張ってしまいます。
2. 監視の目は、自分の未来を曇らせる
この「監視と密告」のループに嵌まると、組織全体の抽象度が極端に下がります。
他人のアラを探すことに脳のリソースを使い、自分の身を守るために他者を攻撃する。
そうなると、RAS(脳のフィルター)は「成長」「未来のゴール」「チャンス」といったポジティブな情報をすべて遮断してしまいます。
他人の足を引っ張って得た小さな「安心」は、偽物です。
その代償として、私たちは自らの無限の可能性を捨てているのです。
3. 人生の大きな分岐点
ここで、はっきりとした分岐点が現れます。
• 未来A:バリアを張り巡らせ、チクリ文化の歯車として生きる道
→ 常に「誰かに陥れられるのではないか」という不安と、成長のない停滞
• 未来B:組織の歪んだゲームから降り、自分の価値を「偽物の評価」に預けない道
→ 高い抽象度で「真に貢献できる自分の機能」を磨き続ける
「心を入れ替える」とは、この歪んだシステムのゲームから勇気を持って降りることなのです。
4. 信頼のネットワークを再起動する
チクリ文化を壊す唯一の方法は、誰か一人が「圧倒的な信頼」をベースに行動することです。
• 他人のミスを上司に報告するのではなく、本人に寄り添って一緒に解決する
• バリアを張って守るのではなく、自分の機能をオープンに提供する
たとえ最初は評価されなくても、その行動は必ず周囲の心を動かします。
そして何より、あなた自身のセルフイメージが「監視者」から「信頼されるリーダー」へと、再起動されるのです。
あなたを本当に評価していい存在は、あなただけです。
他人からの評価は常に変わりやすいもの。
だからこそ、あなたは「自分がなりたい正しい自分軸」をしっかり見つけることが大切なのです。

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