恐怖は「現実」ではなく「脳」で起きている

今年はサッカーのワールドカップ開催年。
普段、何万人もの観衆の前で魔法のようなプレーを見せるスター選手が、PK戦になると信じられないような失敗をすることが過去に幾度かあります。
ゴールまでわずか11メートル。蹴り出されたボールがゴールラインを越えるまでの時間は人間の反応時間より速いので蹴る側が絶対有利です。
練習なら100回中100回決められるはずの彼らが、なぜあの大舞台で枠を外してしまうのか。
それは彼らの「技術」の問題ではもちろんありません。彼らのキックの精度はとんでもないレベルです。信じられないミスが起こる原因は、彼らの「マインドの変化」が、筋肉の動きを支配してしまったからです。
たとえ実力があっても、馴染みのない状況や「アウェイ」の重圧下では、恐怖や緊張が本来の能力を抑え込んでしまいます。
PK戦のあの瞬間、選手の脳内は「失敗したらどうしよう」「国中の期待を裏切ってしまう」という恐怖に支配され、コンフォートゾーン(馴染みのある安全な場所)から完全に叩き出されています。
その結果、世界一流の脚が、まるで自分の物ではないように固まってしまうのです。
ここで重要な真実が一つあります。
パフォーマンスを下げているのは、スタジアムの喧騒でも相手キーパーの威圧感でもなく、自分自身のマインドの中で起きている変化に過ぎない、ということです。
つまり、外側の状況を変えることはできなくても、自分のマインドを「書き換える」技術さえあれば、どんなアウェイでも練習で身に付けた実力を発揮できるということです。
コーチングでは、根性で緊張を撥ね退けるのではなく、「映像化(イメージ)」と「リハーサル」という技術を使いあらかじめ脳にアウェイの環境を経験させておきます。
• これから向かう舞台を、頭の中で「何度も成功させた、いつもの場所」として再生する。
• 成功した瞬間の歓喜と、リラックスした体の感覚を、脳に先取りして覚え込ませる。
脳内リハーサルによって「馴染みのある安全な場所」に書き換えておけば、いざ本番という「アウェイ」に立った時も、脳は「ああ、ここはいつもの場所だ」と判断し、能力の低下を防ぐことができるのです。
もし今、あなたが新しい挑戦の中で強い不安や緊張を感じているなら、それはあなたが「ワールドカップのPK戦」のような、人生の大舞台に立っている証拠です。
新しい環境、新しい人脈、新しい仕事。 勇気を出して一歩踏み出したはずなのに、なぜか思うように実力が出せない。緊張で頭が真っ白になったり、いつもならあり得ないミスをしたり……。
そんな時、「自分には才能がないのかも」なんて自分を過小評価してはいけません。
足がすくむのは、あなたが正しく現状の外側へ踏み出したから。
それは素晴らしい成長のサインです。
あとは、技術を使って脳内を「最高のホーム」に書き換えるだけ。
現実でキックを蹴る前に、まずマインドの中で「ゴール」を決めてしまいましょう。
あなたの本当の力は、リラックスしたマインドの先に待っています。

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